シュンペイ(以下S):皆さんこんにちは。シュンペイです。
今年山に行くなら何を使おうか、という話になりまして、あらためてギアの見直しをしてみました。いくつかシーンを考えたのですが、第一回はやはり夏(7月〜9月初旬)の八ヶ岳に2泊3日の全山縦走をする想定で道具をそれぞれセレクトすることにしました。
今回は、ちょっと志向を変えて対談形式で進めていきたいと思います。
チカ(以下C):お願いします!
想定ルート: 八ヶ岳2泊3日全山縦走(観音平〜スズラン峠)
1日目:観音平〜編笠山〜権現岳〜赤岳〜阿弥陀岳〜行者小屋
2日目:行者小屋〜地蔵の頭〜横岳〜硫黄岳〜天狗岳〜青苔荘
3日目:青苔荘〜茶臼・縞枯山〜北横岳〜双子山〜蓼科山〜スズラン峠
想定距離・CT: 37km・28時間
宿泊スタイル: テント泊
時期: 真夏(7月〜9月)
想定される気温: 最低気温10℃前後 ※テント場
パーティ: ソロ
C:真夏に八ヶ岳全山はやったことないので、結構道具見直す必要がありそうで楽しみですね。
S:そうですね。では早速始めていきましょう。ちなみに今回は山と道のギアリストのシートを元に、行動着以外の装備を一覧化していきます!(行動着はまた別の機会にご紹介します。)
シュンペイ’S セレクト


S:まず、今回のシーンにおける私の装備選びのポイントを挙げると…
- 山小屋がたくさんあり補給がしやすい
- テント場が樹林帯にある
- ほぼすべてのルートを歩いており、道の状況やエスケープルートなどを熟知している山である
という3点を基準に選んでいきました。
C:トラブルや天候等、状況に応じて柔軟に対応がしやすい環境ですね。
S:それに加えて、今回は全山縦走ですが、基本的に八ヶ岳は小屋にベースキャンプを張って山頂にアタックできるので、テント泊初心者の人にもオススメの山域です。
C:確かにお店でもよく”これからテント泊を始めたい”という方におすすめしますもんね!
では早速装備について聞いていきたいと思います。上記の装備選びのポイントだと、結構道具の選択肢が多い印象ですが、どのように絞っていったんですか?
S:一番初めにバックパックを選んで、そこから何を入れるか決めていきました。今回は【LITEWAY】GRAMLESS PACK 35Lにしてみました。いきなりバックパックから始まりましたが、もし登山を始めたばかりの方がバックパックを購入するのであれば、ある程度中身が固まってから、最後にその中身を入れられるバックパックを選ぶのがオススメです。ある程度経験してくると時期や行程を考える段階で適切なバックパックの大きさや耐荷重の目星がつくようになります。

C:で、今回はGRAMLESS PACK 35Lですか。シンプルで良いバック。今回コレを選んだ理由は?
S:容量と背負心地で決めました。メインの収納部だけだと28Lと比較的コンパクトなパックですが、今回はテントやシュラフがコンパクトにできる点(理由は後ほど)を考慮すると十分な容量です。腰を拘束しないため足上げしやすい軽快さも魅力です。南八ヶ岳は岩稜帯があり、北八ヶ岳も大きな岩を超えていくような細かなアップダウンが多いですから。また肩で背負うバックパックの中でもショルダーハーネスが比較的幅広で私好みの背負い心地です。
C:しかもフロントメッシュやサイドポケットもこすれに強い仕様で安心して歩けますね。ショルダーハーネスにポケットもあってすぐに水分補給できて休憩時もあまり時間を取らなくて済みそう。
テントとシュラフは何を選んだんですか?

S:テントは【HERITAGE】クロスオーバードーム FLという自立式のフロアレスシェルターという一風変わったシェルターです。最初のポイントで挙げたように、八ヶ岳のテント場は樹林帯なのでフロアからの風の吹き込みの影響を受けにくいです。ただし、張る場所によっては水が溜まりやすく川になるテント場もあるので、水はけのよい場所を探して設営しましょう。
C:クロスオーバードーム FLは結露が気になると思いますが、対策はありますか?
S:テントの結露で一番影響が出るのはシュラフの濡れなので、濡れに強いものにします。今回は【STATIC】ADRIFT Ti SLEEPING BAGを選びました。これはOcta生地の外側にチタンスパッタリングを施したシェル素材を張り合わせた寝具です。Octaは湿っても保温性が下がりにくく、シェル素材はある程度垂れてきた結露を遮ってくれます。ペラペラで暖かいの?って感じですが、チタンスパッタリングが熱を反射するので真夏だと丁度良いです。実際に体を張って試した感想はLimit4℃、Comfort12℃前後といったところでしょうか。標高が2000m前後のテント場でこの時期だと気温は10℃前後になることが多いと思うので、後ほど紹介する就寝着を組み合わせれば充分寝られます。あと、スリーピングマットは山と道のUL Pad+を80cmにカットしたものを使用します。
C:樹林帯という場所と、気温、寒さに対する経験値を考慮して寝具類を軽量化した、ということですね。

S:次に衣類です。レインウェアは山と道のUL All-weather HoodyとUL All-weather Pantsを選びました。今年のモデルから耐水圧が向上しました。雨風が強い稜線上を歩くにはやはりプロテクションは心許ないですが、そこはインサレーションとの組み合わせで対応します。また、例えば稜線歩きがメインの2日目の天候があまりにも悪ければ、赤岳鉱泉〜地蔵の頭〜オーレン小屋〜夏沢峠〜しらびそ小屋〜黒百合ヒュッテといったルート取りで稜線を回避することも可能です(距離は伸びますが…)。最初のポイントで挙げた熟知した山であるということが生きてきます。
C:状況に応じて様々な対応が取れることも考慮にいれると装備の選択肢の幅が広がりますね!他に衣類は何を持っていきますか?



S:着替えはベースレイヤー:【山と道】Chemical B Pocket T-shirt、靴下:【MIYAGEN】LW セパレートドライソックス 、下着:【STATIC】CHORD BOXER
主に就寝時に着る物は、インサレーション:【STATIC】Adrift Vest、ダウンジャケット:【Rab】Mythic G Jacket、保温パンツ:【STATIC】Adrift Pants、保温ソックス:【STATIC】ROAR HI-LOFT SOX
C:寒さに備えてしっかり目のダウンジャケットとソックスもいれた充実装備!寝具がADRIFT Ti SLEEPING BAGだけだとやや心配な面を補った形ですね。
S:Mythic G Jacketは少しオーバースペックですが、いかんせん軽いので。笑
Adrift Vestは朝の肌寒い時間帯や風の強い時のような冷えやすい行動時間中、シェルの中に着ても着膨れしにくく使いやすいです。
C:UL All-weather シリーズとアクティブインサレーションはセットと言ってもいい程ですからね。ではクッカー類も教えてください。



S:クッカーは【EVERNEW】Ti Mug pot 500です。今回は山小屋でグルメを楽しむので、ご飯は湯沸かしだけできればOK。これで充分です。ストーブは【EVERNEW】Ti Fire cup に【belmont】Titanium Tetra Stoveを風防兼ゴトクとして組み合わせ、燃料はFireDragonを使用します。テトラストーブよりもっと軽いゴトクもありますが、形が好きなので。笑
C:そういう遊び心も大切。FireDragonは消毒にも使えますね。
S:そもそもガスストーブにするのか?アルストか?という点ですが、今回は小屋グルメも楽しみたいので自炊はシンプルに湯沸かしのみでできるものとし、アルストを選択しました。アルストは燃焼時の音が無いので、樹林帯のテント場の鳥たちのさえずりも楽しめます。
C:クッカーの選び方は私もほとんど同じですね。後ほど選んだものだけ紹介します。その他のアイテムのボリュームを占めているエマージェンシーキットが気になりますね。

S:エマージェンシーキットの中身はファーストエイド用品や補修道具、ナイフ等の細かいアイテムを【PAAGOWORKS】MY FIRST AID (M)に全てまとめて収納しています。ソコソコの重さですが、ここは削るべき部分では無いと思っています。
C:中身が気になるところですが、長くなりそうなのでまた改めて紹介してください!

S:あとは予備ライトの【RovyVon】Aurora A5はランタンモードに切り替えられるので便利です。付属のクリップを使えばキャップのつばなどに取り付けられるので、予備のヘッドライトとしても使えます。バッテリー式でTypeCのケーブルあればモバイルバッテリーから給電できます。
ベースウエイトが4.4kg弱、快適性と軽量性のバランスが取れたパッキングになったと思います。
チカ’S セレクト


C:では次に私の装備を紹介しますね。今回の考え方はシュンペイ氏とかなり近いところが多かったので、割愛しながら行きたいと思います。冒頭説明していた装備選びの基準は私も同じですね。
S:では、紹介をお願いします。

C:今回は【SAYAMA Works】NICEDAY V2を使いたい!という目的があり、一番初めにバックパックを選びました。NICEDAY V2は容量25Lクラスですが、(装備選びのポイントを考えると)寝具とシェルターをコンパクトにできそうな算段があったので、そこから何を入れてくか考えていきました。NICEDAYは昨年V2に大幅にアップデートし、サイドファスナーが付いたりと結構使い勝手が良くなっています。
S:なかなか攻めた容量選択…。でもFast譲りの使い勝手はファストパッキングにも使いやすいから縦走で使えたら良いね。
C:身長が低いためぴったりフィットするバックパックが少ないんだけど、その中でもNICEDAYは背面長が短めで小柄でもフィットしやすいのもポイント。



次に寝具ですが、シュラフは【Rab】Mythic 0C/32F、シェルターは【LITEWAY】PYRAOMM DUO TARP、マットは【山と道】ULpad15+(50×50にカット)とNICEDAYの背面に入っている5mm厚のマットを組み合わせます。寝具も考え方はシュンペイ氏と近くて、シングルウォールのシェルターで軽量化しつつ、濡れに強いシュラフを使って結露対策をする感じですね。ただし寒さ対策は万全に、シュラフを「コレさえあれば夏山は大丈夫!」と断言できるMythic 0C/32Fにしました。このスペックで500gという驚きの軽さです。圧縮すればバレーボールくらいの大きさになります。シェルターは私もクロスオーバードームと悩みましたが、距離がそこそこあるルートなので疲れたときにポール使いたいと思ってワンポールシェルターにしました。
S:嵩張る厚手のマットを極力短くすることで、バックパックの中にUの字型にして入れる事ができて、省スペースかつパッキングが美しくなりますね。
C:そうですね、かまぼこ型と勝手に呼んでいます。笑 マットの短さはこだわりポイントですね。これだけでパッキングがだいぶ楽になります。背が低いからこそできるのかもしれませんが。NICEDAY V2に薄いマットが入っているという点も生きてきます。




次に衣類ですが、ここはできる限り削るようにしました。レインウェアは【山と道】UL All-weather Hoody(旧)、【山と道】UL All-weather Pants(旧)を選択。理由はシュンペイ氏と同様ですが、私は特に汗っかきなのでヌケ重視の旧モデルを選んでいます。保温着は行動着と兼用で【山と道】Alpha Bestと、主にテント場での休憩用に【STATIC】ADRIFT PANTS(旧)を選択しています。シュラフがハイスペックなので、就寝時の保温は基本シュラフにお任せスタイルです。予備の着替えも軽量化を考え、濡れたときに困る物だけを持っていきます。ベースレイヤーは【山と道】Chemical B Sleeveless、下着は【モンベル】スーパーメリノウール L.W. 上下、靴下は【injinji】OUTDOOR ミニクルーを選びました。あとこれらの衣類などを入れるスタッフサックを【Paago Works】W-FACE STUFF BAG 7にして枕兼用としています。
S:火器がアルコールストーブなのは何か理由が?
C:理由はシュンペイ氏と同じく、樹林帯で扱いやすい点と火をゆっくり眺めたいからです。そのなかでもより軽量コンパクトになる物を選びました。

クッカーは【Paago works】トレイルポット500です。火器カトラリー燃料全てトレイルポットの中に収納して蓋してしまえばスタッフサック無しでOK。蓋がちょっと重たいですが、湯沸かしの蓋にしたり熱いものを掴んだりできますし、個人的にはスタッフサックに入れるよりもかさばらないのがお気に入りポイント。
最後にその他の部類ですが、細々したものが重くなりがちだと思うので、ここもちゃんと一つ一つ測っていくのが大切ですね。私の場合もシュンペイ氏同様エマージェンシーとファーストエイドキットの割合が大きくなっています。
S:ベースウエイトが4.4kg、NICEDAYのサイズ感で歩けたら南八ヶ岳の岩稜帯もスムーズに歩けそう。
C:そうですね、その点はかなり意識しました。背が低いので、荷物が大きいと振られたり背面長が合わなくて腰が痛くなったりすることがあるのですが、今回はなかなかコンパクトに収められたと思います!特にシュラフがぐっとコンパクトにできたのが大きかったですね。女性でソロテント泊検討されている方は参考にしてみてください。
S:装備を選ぶ時は、ルートや気象条件はもちろん、どんな山行をしたいのかということや、経験値がとても大事になってきます。どんどん実践して、(命にかかわらない範囲で)たくさん失敗をして自分なりの正解を探すのも山の楽しみだと思うので、是非山にどんどん行ってみてください!装備や山行計画のご相談も大歓迎です。


