【店主の休日】 冬の八ヶ岳 横岳-杣添尾根を歩く

店主の休日

こんにちは、チカです。
先日のお休みは約2ヶ月ぶりに雪山へ。八ヶ岳の東面に伸びる杣添尾根から、横岳に登ってきました。

今年の2月下旬から3月頭にかけてはとても暖かく、八ヶ岳は残雪期の様相でした。もう八ヶ岳の冬シーズンは終わりかも…なんて話をお客様とすることもしばしばあったのですが、なんと3月初週は全国的に低気圧に覆われるという予報が。南岸低気圧がもたらしてくれた降雪を、これが今シーズン最後のチャンスと言わんばかりに楽しんできました。


「今シーズンの雪山納め(もはや我々にとっては雪山シーズンイン)に上越にでも行きますか。」という話をしていた3月1週目のお休み。泊まりで上越方面の雪山に行くにはちょっと面倒な天気だな、と思っていところ、夫から「日帰りで杣添尾根からの横岳は?」というナイスな提案がありました。杣添尾根は雪がたっぷりあるときに歩きたかったルート。

「山はその時の天気と気分で自分の頭の中にある行きたいルートリストの中から選ぶのがいいんだよね。その時に行くと一番いいって山を。狙っているルートはあるけど、”決まっている山の予定”はない。」っていう話を夫としていたばかりだったので、「そうそうこれこれ」と思わず飛び跳ねてしまいました。普段は前日の準備が一番億劫なのに、この日ばかりは翌日の雪山にルンルンで準備も捗りました。

さて当日朝は6時に茅野を出発。八ヶ岳はまだ雲に包まれていました。前の日の夜ずっと雨の音がしていたので、積雪量に期待大です。尾根を上がっていくので雪崩の心配はしていませんが、積もりすぎてラッセル敗退になるかも…?なんて妄想が膨らみます。

いつもの山沿いの道を通過しようとしたら、雪で倒木が発生して通行できないハプニング。迂回して北杜の町中を通過すると、真っ白になった八ヶ岳が姿を現しました。県界尾根の後ろ側にこれから歩く杣添尾根もちらり。尾根の中腹が白くなっていて雲なのか、風で飛ばされた雪なのか。いずれにせよコンディションは良さそうです。

横岳登山口に着く頃には道路にも雪が積もっていました。我々しかいないかなと思いきや駐車場には1台止まっていました。考えることは同じですね。

しばらくは別荘地に囲まれたほぼ平坦な道を歩きます。八ヶ岳は本当に裾野が広い。どこから入ってもだいたいスタートは緩やかです。例外は…スズラン峠からの蓼科山か、渋の湯・唐沢鉱泉から入る道くらいでしょうか。

別荘地を抜けて鹿避けの柵を通過してしばらくすると林道に出ます。道の奥に青空と横岳とこれから登る尾根が見えました。そこからちょっと歩くと砂防ダムの工事で作られた広場。この広場が1,800mちょっとなのでざっくり1,000mほど標高を上げていくことになります。

今回のレイヤリングはベースレイヤーに山と道のChemical B Sleeveless、ミドルレイヤーにBRINGのWUNDERWEAR シームレスフーディー、インサレーションに山と道のAlpha Best。日帰りだったので汗処理優先の組み合わせ。体の芯はしっかり守りつつ脇から熱を逃がす暑がり仕様のレイヤリングです。Chemical B Sleevelessは肌のドライ感が続いて汗冷えなく過ごせました。ちなみに雪山泊まりの場合はベースレイヤーに、より保温性のあるDF Mesh Merino Sleevelessを選ぶことが多いです。

さてここからようやく杣添尾根に取り付きます。雪は20cmほど積もっていて冬靴でも歩きやすいコンディション。気温は高く、木々から溶けた雪がポタ、ポタ、と頭に落ちてきました。多分下山時には雪が無くなりそうな気配。ひんやりとしたシラビソの樹林の中を黙々と歩き続け、2,200mあたりで尾根に乗り上がります。そこからは谷から吹き上がってくる風が時折吹き付けてきました。細かな氷の粒を纏った風は顔に当たるとまあまあ痛いです。

ふと目に入った看板をよく見ると「万歩計で半分」らしき文字が。まだ半分か…と思いつつ若干樹林帯の登りに飽きてきた頃に森林限界手前の広場に出ました。目の前には待ちに待った横岳の稜線が広がっていました。

広場でしっかり装備を整え、いざ出陣。雪がもっさり乗ってプチ雪庇になった尾根に「完全に雪山じゃないか!!」とテンションが上がります。2,750mくらいまでは雪稜歩きを存分に楽しめました。風に打たれながらサラサラの雪に足を取られて歩く感じは、「雪山に来たなあ」と気分がさらに高揚してきます。

振り返ると富士山。右手には赤岳。赤岳には大きな雲がぶつかっては晴れてを繰り返して、風が強そうです。

目の前には壁のような横岳。茅野に住んでいるとこの角度から眺めることがあまりないので、ついつい見入ってしまいます。関東方面は雲がかかっていて奥秩父は残念ながら見えませんでした。

三叉峰直下はアイスバーンの急斜面。ピッケルに持ち替え一歩一歩確実に登り進めます。ようやく主稜線に出ると爆風でお出迎え。やっぱり冬の八ヶ岳はこうでないと。周囲はすでに雲に包まれていましたが、進めないほどの風ではなかったので、そのまま予定通り奥ノ院まで向かいました。昨年末のコラボMARS八ヶ岳で一回り強くなった気がします。笑

途中の無名峰で振り返ると一瞬の雲の切れ間から見えた阿弥陀岳が見え、その迫力に息を呑みます。冬の阿弥陀岳も何度か登りましたがとてもオススメ。個人的には阿弥陀岳は冬が好きです。御小屋尾根からグーンとまっすぐ阿弥陀岳にたどり着いて、雪のついた赤岳が見えた瞬間の充足感がたまらないのです。
今年は年始に阿弥陀岳北陵も行きましたが、まだまだ自分の未熟さを突きつけられたのでそのうち赤岳主稜の練習がてらリベンジしたいです。

話を戻して、三叉峰から15分ほどで奥ノ院に到着。稜線上も冬の八ヶ岳にしては気温が高く、風もたまに15mくらいの強い風が吹くだけだったので歩くコンディションとしてはそこそこ良かったです。(とはいえアイゼン歩行に慣れていない人は結構怖いと思いますので行かれる際はご自身の経験をしっかり加味してください。)
ザックから保温ボトルを取り出してお湯を一口含み乾いた口を潤しつつ、西側の岩壁を覗き込むと、去年の夏に登った小同心の頭が顔を出していました。雪が付いた岩稜は夏登ったルートと同じなんだろうか?と思うくらいにぐっと恐怖感が高まります。冬の小同心クラックも一つの目標です。

2022年の横岳は稜線上で腰まで埋まりました。

何年か前の大寒波のクリスマスに赤岳から硫黄岳を縦走した際に、大雪で大変だった硫黄岳に向かう稜線を見ながら、冬の八ヶ岳の縦走に久しぶりに行きたくなってきました。山に来るとやりたいことがたくさん思い出されます。自分が次どこに行きたいか思い付くのは大抵どこかの山に行った時だったりするんですよね。
後ろ髪を惹かれつつ、来た道を引き返しました。

三叉峰の直下を下る時は少し緊張感がありました。個人的にはこの日一番嫌だった箇所。アイゼンを斜面と平行にし、一歩ずつ確実に降りていきます。ようやく安全地帯の広場まで降りてきた頃にはすっかり稜線は雲に包まれていました。牛乳パンを齧りつつ下山後のポッポ牛乳直売所に思いを馳せます。頭の中はすでに下山後に何を食べるか考えることでいっぱいです。

冬はOuterUのBaraとFaceGloveの組み合わせが抜群に調子いいです。

尾根上は快適な雪の道でしたが、2,300m付近を過ぎて支尾根に入ると雪に隠れた岩に足を取られるようになりました。やはりかなり雪が溶けた様子。躓かないよう気を配りつつ、それでもアイゼンに引っかかる岩に2人とももどかしさを隠しきれませんでした。最後の急斜面を降りて、小川に架かった橋を渡ると砂防ダムの広場に出ます。ようやく終わった、、、とアイゼンをささっと外してあと僅かの駐車場までの道を猛スピードで歩き終えました。

下山後のご褒美はポッポ牛乳のソフトクリーム。直売所に向かう道中に目の前にそびえる男山と天狗山を見て隣で夫が「マルチも行きたいな〜」とぼやいていました。やはり山が次の山へと誘うようですね。
この時期直売所が営業しているか若干の不安を抱えつつ、駐車場に車を止めると「営業中」ののぼりが出ていてウキウキで券売機に向かいました。ソフトクリーム一択と思っていましたが、メニューを見ると「ヨーグルトソフトクリーム」なるものを発見。絶対にうまいに決まっている。
冷たい風が吹く中八ヶ岳とヨーグルトソフトクリームを写真に収め、いそいそと車に戻ります。待ちに待ったご褒美。売店で店員さんから「下にヨーグルトが入っているのでかき混ぜて召し上がってくださいね」と一言アドバイスをいただいていたため、その量を加味しつつまずはソフトクリームを黙々といただきます。この濃厚でクリーミーなソフトクリームを待っていたのだ。と舌が震えるほど喜んでいました。ヨーグルトゾーンが近づいてきたのでコーンの下の方までスプーンを差し込んでヨーグルトを少し引き出しソフトといっしょに一口味見。口に含んだ瞬間にヨーグルトの爽やかな酸味がふわっと鼻を抜け、その後ソフトクリームの甘さとまろやかさが舌に広がります。もはや濃厚なレアチーズケーキ。そこからはコーンの中でヨーグルトとソフトをこれでもかというくらい混ぜてしっかりアドバイス通りにいただきました。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                
こんな寒い中ソフトクリーム食べる人なんて我々以外に居ないと思っていたのですが、ソフトクリームを食べている最中続々と売店に向かう人達がいました。ポッポ牛乳を侮ってはいけませんね。

最短ルートで横岳に登れ、かつ雪稜も楽しめた杣添尾根はこの一日で八ヶ岳のお気に入りのルートに正々堂々ランクイン。新雪に多少苦労しましたが、そういう困難がある方が記憶によく残るのは認めざるを得ない事実だなあ、とまた一つ自分の中にいい思い出が積もりました。

もうしばらくは冬の八ヶ岳を楽しめそうですので、思い残しがある方はぜひ遊びにいらしてくださいね。

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