連日の立ち仕事の疲れか、それとも単なる衰えか。
ある日突然夫が足を引きずりながら、「足の甲が痛い…」と訴えてきたため、その週のお休みは軽くリハビリ登山にいこうか、ということに。
北関東の山からの帰り道、佐久の平野を横切っていたとき、助手席からぼーっと町並みを眺めていると、左奥に興味深い山塊がずっと見えていました。そのあたりは南佐久の山々が連なっており、以前地図を見ながら行きたいね〜と話していた御座山(おぐらやま)がある場所でした。
リハビリにちょうど良さそうな、日帰りでそこそこ近場で面白そうな山、、、と考えたときにふとその御座山のことを思い出し、「コースタイムで往復5時間程度なら、日帰りでゆっくり楽しむには良さそうだね。我々が応援している二輪レーサー小椋藍が世界チャンピオンになったばかり、お祝いだ!」と「おぐら」繋がりでこじつけ、リハビリ登山は満場一致で御座山へ紅葉ハイキングに決定しました。
Written by Chika

その日の朝は、7時頃に茅野を出発。茅野へ越してきてから1年経ちましたが、恥ずかしながらまだ佐久方面からの八ヶ岳すら行けていなかったので、ドライブも兼ねて1日遊ぶことにしました。
原村、富士見、清里と八ヶ岳の麓の町を次々と通り過ぎ、そのまま野辺山へ抜けると、のどかな高原地帯が広がっていました。幼少期によく遊びに行っていた、父の実家がある北海道の景色と重なります。
東側から見る八ヶ岳はいつも見ている八ヶ岳よりも穏やかな様子。緩やかに伸びる尾根を見ながら、冬は杣添尾根から横岳に登ろうかな、なんていつものごとく登りたい山のことばかり思い浮かびます。
今回は山頂でのんびりすることも目的の一つだったので、久々に山でカップ麺を食べることにしていました。食料を手に入れるために途中立ち寄ったセブンイレブンは、おにぎりやサンドイッチがほぼ完売状態。朝早くから働く農家さんが朝食を買って仕事に向かったのでしょうか。
そこから30分ほど更に車を走らせ、今回の登山口、栗生登山口には9時過ぎに到着。すでに4台ほど車が止まっていました。県外ナンバーの車も多く、関東から日帰りで登れる人気の山であることが伺えます。
登山口の看板には登山道の概念イラストがありました。これは、岡谷の本屋さんで見つけたあの長野の山の本のものではないか、と思わず興奮。味のあるイラストと、詳しい道の情報で紹介される山々。読むだけで山に行った気分になれる本です。栗生登山口からのルートの途中には、「ん」の倒木があると示されていますが、いったいどんな倒木なのやら…
下調べによると御座山山頂は岩がむき出しになっており、展望は360度良好とのこと。
紅葉の進み具合も、途中の滝も、「ん」の倒木も、ワクワクがいっぱいだなあ〜と意気揚々と出発しました。

登山口からすぐの森は等間隔に並んだカラマツが森林公園のような様子。低山あるあるの出だしから尾根の急登ではなく、ゆるっとトラバースしながら沢の横を上がっていきます。出だし5分でこの山の魅力に取り憑かれつつ、そのまま歩き進めるとすぐに広葉樹林に変わり、黄色く染まった登山道を進んでいきます。
紅葉はもしかしたら例年より鮮やかでは無いのかもしれないですが、それでも赤や黄に染まった森はとても暖かみのある景色です。太陽の光が夏の日差しから秋の陽光へと変わり、周囲を優しく照らしています。

低山歩きが楽しい季節になったなあ〜とサクサク歩き進めること30分、不動の滝に到着しました。玉が連なるように流れ落ちる水の様子が繊細で、見惚れていると、隣で「滝は秋に来るのが一番いい」と呟く夫。全く同意です。

滝から20分ほど登ってきたところで、夫が振り返って何やら言ってきました。近づいて聞き返すと「ん」、とだけ繰り返してきます。夫の奥を覗き込むと、巨大な「ん」が道を遮っていました。
「ん」の倒木を通り抜け振り返ったら、「λ(ラムダ)だね〜」となんだか嬉しそうな夫。

このあたりから急な斜面や鎖場がところどころ登場し、山頂の気配を近くに感じます。
不動の滝から40分ほどで前御座山に到着。足元に佇むお社に一礼し、山頂を目指します。

コメツガの森を抜けると、大きな岩が突然目の前に現れ、山頂直下に到着。慎重に岩に上がると、目の前には八ヶ岳が広がっていました。振り返ると、関東平野とその奥にある日光方面の山までよく見えます。
山頂は細長い岩場で、座るのにちょうど良さそうな段差がいくつか。乾徳山の山頂を少し広くしたような雰囲気でしょうか。
我々が到着した頃にはすでに3組の登山客が展望を楽しんでいました。
この御座山に来る前に通ってきた野辺山から良く見えたとんがり山も山頂から見えました。正式名称は天狗山とのこと。その名の通りすぎる頂から細長く続く尾根が気になります。その天狗山の後ろには南アルプスがずしっと鎮座していました。

ぐるっと360度景色を楽しんだところで昼食タイム。浅間山がよく見える場所まで移動し、腰を下ろして朝沸かしてきたお湯をカップ麺に注ぎます。
大体日帰りの山は火器を出すのも面倒だったりするので、おにぎりで済ますこともしばしば。今回も山専ボトルにお湯を入れてきて、それでティータイムまで楽しむことにしていました。
久々のカップ麺は悶絶するほどおいしくて、ものの5分で食べきる勢い。やっぱり山はカレー味一択です。食後のティータイムはレモンパックとインスタントコーヒー。
絶景を見ながらのランチタイムは気づいたら1時間経過していました。
後ろ髪引かれつつ、次は誰かと来たいね、と山頂を後にします。

下山する頃には太陽がだいぶ下りてきて、朝歩いた道とはまた違う雰囲気の登山道につい足が止まります。それでも13時には登山口に戻ってきました。
サクサクと落ち葉を踏む音が響く静かな時間。関東にいた頃を思い出すような、気持ちのよい秋のハイキングでした。
下山後は、できたばかりの道の駅八千穂高原と佐久のイオンモールをぷらっと散策。
道の駅は平日にも関わらず駐車場がほぼ満車状態でした。レストランでお茶したかったところですが、人がたくさんいたので諦め、横に併設されているモンベルで今年の雪山装備をcheck。ハードシェルが進化していたり、行動中着るのにちょうど良さそうな化繊インサレーションがいい感じのカラーリングだったり、目移りしまくりでした。山道具屋をやっていますが、山道具屋に行くのはやっぱり楽しいですね。
帰り道の佐久の平野では、以前見たときと同じように南佐久の山々が良く見えました。御座山の余韻に浸りながら山をよくよく調べてみると、良く見えていた山は茂来山で、御座山は奥からちょこっとだけ顔をのぞかせていただけでした。
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2024.10 御座山
4.5km
↑757m ↓757m
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使用アイテム一覧
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