【登山紀行】vol.12「関西ハイカーのおすすめを巡る、花の霊仙山」

登山紀行


3月に鈴鹿山脈を縦走して以来、関西のお客様にその縦走の話をすると「霊仙山も良いですよ!」と度々オススメされ、気になっていた山。
今回たまたま関西方面に用事があり、折角なのでお休みをいただき霊仙山まで足を伸ばしてみることに!

この時期は霊仙山にヤマシャクヤクが咲いているようで、山はお花探しを目的として、下山後は琵琶湖畔でキャンプを楽しむ計画を立てました。

Written by Shunpei


閉店後、準備をして22時に茅野を出発。
いつも通り飯田までは下道を走り高速に乗り、途中仮眠を取りつつ6時前に登山口のある落合集落跡に到着。予報では晴れの予定でしたが、空はまだどんよりしていたため7時まで再度仮眠を取ることに。少し寝てスッキリしたところで歩き始めました。

集落から少し下った今畑登山口から登山を開始。序盤は急斜面のつづら折れになっている道を登っていきます。登り始めてすぐにある今畑の廃村にて早速クリンソウの群生がお出迎え。ヤマシャクヤクへの期待が高まります。

しばらくすると尾根に乗り、樹林帯の歩きやすい道が続きます。

思えば去年の今頃は、お店の場所探しからはじまり、開業の準備で忙しく、のんびりと山を歩く時間が確保できていませんでした。久々の新緑の山歩きにこころなしか足取りも軽くなります。

笹峠のあたりから石灰岩がちらほら見え始め、徐々にいま歩いている場所が鈴鹿山脈の一部であることを実感します。

笹峠を越えると一気に視界が開け、眼前には石灰岩がゴロゴロした迷路のような急斜面が立ちはだかります。この日は風が強く、度々吹き飛ばされそうになるほど。途中でインサレーションとレインウェアを着込みました。

STATICのADRIFTシリーズは軽くて携行性に優れるため、年間を通して使いやすいのが魅力です。
STATIC | ADRIFT HALF ZIP HOODY

急斜面をひとしきり登り終えると、後ろには琵琶湖が見えました。湖から吹く風がとにかく冷たい。

正面には霊仙山最高点に続く岩の稜線が見えました。
南霊岳から見る最高点の付近はすごい勢いで雲が流れていました。時折雲の切れ間から日が差し込み、南東の斜面に生えるもこもことした木々を明るく照らしています。初夏の訪れを木々も喜んでいるようでした。

最高点に近づくにつれて霊仙山の全容が明らかになっていきました。
苔や草、石灰岩のコントラストが美しく、なだらかに広がる稜線のダイナミックな景色に「うわーすごい!」「めちゃめちゃきれい!」と連呼しっぱなし。語彙力を失いました。笑

途中、恐竜の足跡のような岩を発見。足の甲の部分を見た人が指の部分を配置したのでしょうか。風化し易い石灰岩が露出した稜線は、他にも猫に見える岩や、刃物で切れ目を入れたような岩など、面白い削れ方をしている岩が多くありました。

10:10最高点に到着。最高点に向かうにつれて琵琶湖から吹き上げる風が強まっていき、最高点に到達する頃には立っているのがやっとなくらいでした。気温も10℃を下回っており、まるで3月頃のような寒さでした。写真を撮ってそそくさと霊仙山の山頂へ向かいます。
いくつか見えるポコポコとしたピークは、遠いように見えて歩いてみると意外と近く、そのコンパクトさも霊仙山の魅力であると感じました。

10:20、霊仙山山頂に到着。置かれていた看板はアルミ製のため軽く、写真を取ろうとすると風で吹き飛ばされそうになりました。こちらもサクッと写真を取って、 今回の目的であるヤマシャクヤク探しへと向かいました。

山頂やその周辺から見える景色は、カルストは勿論、苔や池塘、ポツンとした避難小屋など見応えたっぷり。「1000mほどの山でこれだけ満足感を得られる山はそうそうないよね」「関東の低山ではなかなか味わえないよね」と妻と霊仙山を褒め称え合いながらお花探しをしました。

なかなかお目当てのヤマシャクヤク見つけられずにいると、立派な一眼レフカメラを持った方から「もうヤマシャクヤク見ました?」と声をかけられました。「まだ見つけられてないんです」と返すと「こっちこっち」と言われ、ついて行くとなんと、群生地に案内してくれました。
ピンポン玉ほどの大きさの花は、白い花弁がクルッと葯を包み込み、まるで風から守っているよう。
ヤマシャクヤクは2日〜3日で散ってしまう短命の花で、我々が見た群生地もちょうど見頃か、もう翌日には散ってしまいそうな感じでした。これ以上無い良いタイミングで行くことができ、感無量です。

お花を堪能した後は引き続きカルストの絶景を楽しみながら下山路へ向かいました。
周囲には動物の痕跡が多く、池塘に向かって何本も獣道が走っていたり草地が広がっていました。樹林帯に入る前に、フレンチプレスで淹れたコーヒーを飲みながらゆっくりと景色を惜しみました。

下山は大洞谷方面に下降。
汗拭き峠から沢に続く道は急斜面をトラバースしたり、足を滑らせると大怪我では済まなそうな、どことなく奥多摩のマイナールートのような雰囲気がありました。汗拭き峠とは、急登が続く道を汗をかきながら登るのではなく、緊張感から冷や汗をかくことが由来かな?なんてことを考えながら慎重に下ります。

緊張感のある下りを終えると沢沿いの道が続きます。
気温も上がり、木漏れ日の中を気持ちよく軽快に歩きました。
12:30、登山口に到着。朝は4台程度が停まっていた駐車場も20台以上停まっており、平日にも関わらず満車状態でした。人気の山であることが伺えます。

下山後はスーパーで食材を買い込み琵琶湖へ。
琵琶湖の湖畔には幾つも緑地があり、キャンプをすることができます。
今回は大津に近い緑地で幕営。

水際にヘリテイジのクロスオーバードームとLITEWAYのPYRAOMM DUO TARPを張りました。
正面に比叡山と琵琶湖が広がる贅沢なロケーション。
LITEWAYのPYRAOMM DUO TARPは、出入り口のアレンジにより開放感が得られ、すこし寒い時は半分閉めたりできるのでのんびりテント場で景色やご飯を楽しむにはうってつけです。張ったときのシルエットがかっこいいのも良いですね。

LITEWAY | PYRAOMM DUO TARP

夜は餃子と油揚げのキムチチーズ挟み焼きと寿司。妻はここぞとばかりに日本酒を飲んでいました。ここ最近山に泊まる際はドライフードやラーメンで済ますことが多いので、たまには少し凝ったご飯も良いなと改めて思いました。

暗くなってからはRovy Vonのライトが大活躍。ヘッドライトとして使えるのは勿論、ランタン機能が秀逸で、キーホルダー感覚で常に携行しています。USB-Cコネクタがついておりモバイルバッテリーから充電できるので、縦走でも使いやすい点もお気に入り。

RovyVon | Aurora A5(第4世代モデル)

翌朝は5時過ぎに起床。早朝のひんやりとした空気と朝日を全身で楽しみながら、朝ご飯の準備。思わず鼻歌が出てしまいます。朝ご飯はハムチーズマフィンサンドとエアロプレスで淹れたコーヒーをいただきながら琵琶湖の景色を楽しみ、名残惜しいですが撤収しました。

それにしても目の前に広がる琵琶湖はほんの一部ながらもとても大きく、まるで海のような雰囲気に、内陸であることを忘れてしまいますね。

次に関西に行く際には、比叡山?京都一周トレイル?それともダイヤモンドトレール?いやいや、熊野古道でしょ!早く関西にまた登りに来たいね!なんて話をしながら帰路につきました。

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2024.05 霊仙山
落合登山口〜笹峠〜霊仙山〜汗拭峠〜落合登山口

距離:10.3km
標高差:↑↓841m
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