【登山紀行】Vol.6「Lake to Lake 諏訪湖から霧ヶ峰・車山を越え・・・」

登山紀行

当店がある茅野の街周辺からスタートできるルートがあったら面白いな…と地図を眺めていた時に思いついた、諏訪湖から百名山の霧ヶ峰・車山を越えて白樺湖に至る総距離21kmのLake to SummitならぬLake to Lakeルート。

里山の急登、ルートファインディングが必要なバリエーション、霧ヶ峰周辺の絶景の車道歩き、車山の大展望と変化に富んだ贅沢な山行になりました。

Written by Shunpei


お店のある茅野駅から6:10発の長野行き普通電車に乗車。隣駅の上諏訪駅に6:16到着。
駅から徒歩約10分、途中コンビニで補給しつつ今回の行程のスタート地点諏訪湖に到着。

街はまだ薄暗く、カラスの大群が駅前を飛び交っていました。
諏訪湖は氷は張ってないものの、早朝の冷え込みは厳しく、体が凍るかとおもうくらい寒いスタートでした。

スタートからはしばらく諏訪湖畔沿いに歩きます。

この日のバックパックはLITEWAYのURBAN PRO PACK 30L (ECOPAK EPX200仕様)。
防寒着やアイゼン・チェーンスパイク等で荷物が嵩みがちなこの時期にピッタリのサイズ感。ショルダーベルトは幅広で長時間背負っていても肩が痛くなりにくいです。

メイン気室はジッパーのため、すぐに荷物が取り出せます。
荷物が少なくてもバックパックがクタッとならない点がお気に入り。

「URBAN PRO」の名前の通り、貴重品ポケットがついていたり、ウエストとチェストベルトが外れるので、街で普段使うのにも便利です。

15分ほど湖畔を歩いた後、湖を逸れて街中を進むと本日の登山口、高尾山穂見神社に到着。本格的な登りの始まりです。
神社への入り口は分かりづらく、住宅街のお墓の横から入ります。

穂見神社から大見山までの尾根沿いの登りは、基本的に里山にありがちなトレースの少ない急登。時折緩やかになったり広場が現れます。
あまり登られていないみたいで、野生動物の痕跡がそこかしこにありました。

冷え込む朝方、体が温まるまではUJMT.のUL multi wrap DCFをスカートとして装着し、体に当たる風をガード。
クルッと回すとそのまま座れるので休憩時の敷物としても便利です。
特に、朝早くから歩き出す際の必須アイテムとなっています。

登り始めてから30分程経った頃、太陽が、奥に見える尾根から顔を出しました。
この日はかなり寒く、登っていてもなかなか体が温まらなかったので陽の光のありがたみが身にしみます。
葉っぱが落ちた樹林帯の日の出は木漏れ日が美しく、好きな時間の一つです。

途中、諏訪湖と岡谷市街がよく見える場所がありました。奥には三百名山の鉢盛山が雪をかぶっています。
スタート時点では静かだった車通りが、遠目からも渋滞している様子が見え、まるで街が生き物のように朝日を浴びて動き始めているようです。

8:50、大見山の山頂に到着。山頂の東屋の前で本日初の休憩。パンとコーヒーが朝イチの急登を登り終えた体に力を与えます。

そこから10分ほど下ると全面氷結した蓼の海が現れます。
氷にはところどころ足跡があり、薄そうな場所にチャレンジしたであろうチキンレースの痕跡が残っていました。(アビナイヨ!)

水田灌漑用の溜池として大正12年に造られた蓼の海。昭和51年まではスケートリンクとして使用されており、日本屈指のスケートリンクと名を知られていたそう。

ハイシーズンにはキャンプ場やアスレチックの利用客で賑わっていると思われるこの場所も、真冬の平日の朝となると静まり返っており、池に張った氷が「キーン・・・」と軋む音が周囲に響き渡っていました。

蓼の海公園から霧ヶ峰の湿原までを繋ぐ登山道はなく、1時間30分ほど藪の森の中をルートファインディングしながら歩きます。そこら中から鹿の鳴き声が聞こえ、至る所に獣道が走ります。夏場はハードな藪漕ぎになりそうです。
地図をこまめに見ながら道を探りつつ霧ヶ峰までの急坂を登ります。

藪を抜けた先から徐々に積雪量が増えました。
霧ヶ峰が近づいたせいか、心なしか足取りも軽くなります。雪にとらわれる足元もなんだか楽しくなってきました。

樹林を抜けると一気に景色が開けます。このあたりはよく車で来ている場所で、いつもと同じ景色なはずなのに、麓から歩いて来ると感じ方が全然違いました。
妻は、キリマンジャロに登った時に行った、タンザニアのサファリツアーを思い出す景色だ、と。言われてみれば、確かによくテレビで見るサファリの景色に似ている。
歩きならではのスピードは、いろんなことを感じさせてくれたり、考えたり、頭の中が整理されます。

妻は本日のバックパックにSAYAMAworksのNICEDAYをチョイス。
冬の装備が多くならないルートであること、長距離を歩くのに体の負担がかからないこと考えたためです。

NICEDAYはTJAR出場選手のバックパック製作の知見が生かされた、デイハイクに気軽に持ち出せるバックパックです。
ストレッチ素材のフロントポケットはウィンドシェルや行動食など、素早く取り出したいものを収納し、バンジーコードでワンタッチでコンプレッション可能。
背面パッドは外側から取り外し可能で、休憩時の座布団として使用できます。EVERNEWのFPマットに変更すれば広げてお昼寝もできちゃいます。
背面長が比較的短めなので、小柄な妻でも背負いやすいのもポイントです。

しばらくは霧ヶ峰の車道歩き。
休日はドライブやツーリングライダーで賑わうビーナスラインも、車はほぼなく、のんびりとした時間が流れていました。

11:15に霧ヶ峰自然保護センターに到着。この後の雪道に備えてお昼を食べながら長めの休憩をとります。

気合を入れ直して、自然保護センター 〜 ころぼっくるヒュッテ 〜 車山山頂と、散策道を進みます。
お手軽にスノーハイクを楽しめる場所なこともあり、道はバッチリ踏み固められています。この日は無風で比較的暖かく、360°の絶景を堪能しながら歩けました。

北アルプス方面を見ると、手前に大きな鉢伏山。
まだ行ったことがないため、高ボッチと合わせて縦走するルートを計画中。

諏訪湖畔をスタートして約6時間半、車山山頂に到着。
車で来れば30分程度で登頂できてしまう山に、あえて時間をかけて登る。山は色んな楽しみ方ができて本当に面白い。

八ヶ岳をバックに一枚。
車山のいいところは日本アルプスの多くの山々が見渡せる上、大好きな八ヶ岳連峰が正面に屏風のように広がるところですね。

車山から先はスキー場のゲレンデ脇を下ります。
歩いて下る我々を尻目に、スキーヤー・ボーダーが颯爽と滑り降りていき、その軽快な姿を羨ましい目で追いかけます。笑

車山から白樺湖に至る道は「中央分水嶺トレイル」の一部になっています。
ススキの合間を伸びていく気持ちの良いトレイルで、神奈川に住んでいた頃によく歩いていた箱根外輪山の縦走路を思い出す景色でした。

終盤の疲れた体には少しきつい、微妙なアップダウンを3回繰り返します。

14:30、白樺湖に到着。
諏訪湖から霧ヶ峰・車山を越えて白樺湖まで、予定通りに歩き通すことができました。
15:00の茅野駅行きのバスまで時間があったため、近くのそば処で時間つぶし。(このバスを逃してしまうとタクシーでしか駅に戻れなくなります!)

帰りのバスでは、車山から白樺湖に至る中央分水嶺トレイルの三兄弟のピークがお見送りしてくれました。

いつもは車で通り過ぎてしまう景色も、歩きでしか味わえない良さと達成感を感じることができた大満足な山行となりました。

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2024.01 諏訪Lake to Lake
上諏訪駅〜諏訪湖〜大見山北峰〜蓼の海公園〜霧ヶ峰〜車山〜白樺湖
距離:21km
標高差:↑1435m ↓775m
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